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おもしろ法律道・司法書士の独り言

4 貸していたCDを取り戻しただけでもドロボウになる?

亀中さんと兎山さんは大の仲良し。
お互いの家に遊びに行き来することもしばしばある間柄です。

ある日、亀中さんは兎山さんから頼まれたので、とても気に入っているヘヴィメタルのCDアルバムを貸してあげました。
兎山さんは毎日ものすごい音量で聴いて上機嫌です。
毎日頭を振ってノリノリです。
亀中さんも、兎山さんが気に入っているようなので、しばらく貸してあげることにしました。
ところが、兎山さんは、1年たっても返してくれません。
そこで、亀中さんが、「そろそろCDを返してくれよ」、と言ったのですが、兎山さんはCDを大音量で流して聞こえないふりをしています。
亀中さんはしかたなく、兎山さんがトイレに立ったすきに、自分のCDを取り戻し、そのまま家に持って帰りました。

じつはこの亀中さんの勝手にCDを取り戻す行為は、刑法で定める窃盗罪(ドロボウの罪)に該当するのです。

自分のモノを取り返したのにドロボウになる?
全く納得できませんが、日本の法律ではそのような定めになっているのです。

刑法にはこのように定めてあります・
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

兎山さんは、「他人」にあたります。
「窃取」とは、無許可で持ち出すことを指します。
また、刑法の条文上は細かく定めがないため、長年の裁判実務上の解釈により、窃盗とは自分以外の人が所持・管理(占有といいます)しているものを、無許可で盗むこととされています。
自分のモノであっても、他人が所持・管理しているモノについては無断で取り戻すことは許されないのです。

なんだか釈然としませんが、この解釈には、別のトラブルを防ぐ目的があるのです。
次のようなケースにおいては、自分のモノを無許可で取り戻すことに規制をかけるべきだと考えられるのです。
たとえば、ラーメン屋をするために、冷蔵庫や厨房器具をレンタルしたとします。
レンタル品なので、もちろん自分のものではありません。
レンタル屋さんの所有物です。
ここで、ある日突然レンタル屋さんがラーメン屋さんの許可も取らずにレンタル品をすべて引き揚げてしまったら、ラーメン屋さんは商売ができなくなってしまします。
そこで、裁判所は、自分のモノであっても他人が所持・管理しているモノについては、無許可で取り戻すことも犯罪になると解釈するにいたったのです。

自分のモノであっても、取り戻すためには法律上の根拠が必要です(今回のケースでは所有権にもとづき返してくれ、といえます)。
また、「相手が拒むのであれば、裁判所で決着をつけよ」という考え方が法治国家の基本的な考えなので、裁判所を通さず、相手が拒否しているにもかかわらず無理やり自力で事件解決をすることは禁じられているのです。
このような法治国家の基本理念を実現するための考え方が、「自力救済(じりょくきゅうさい)の禁止」といわれています。

自分のモノを取り戻す行為も、ときとして窃盗に当たるということは、覚えておいたほうが良いかもしれません。





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